非正規労働への依存や雇用調整が進んでいる。緊急時には、経営者の短期対応が不可欠だが、それに目を奪われてしまうのは問題だ。この背景には、時間感覚の違いという重要なカギが隠されていると筆者は説く。
大学人と企業人に見る「すぐに」の違い
四半期決算に対する上場会社経営者のフラストレーションが高まっている。四半期という短い時間単位で企業経営をとらえることができるのか、という声をあげる経営者が増えている。四半期決算のためのコスト負担が大きく人手がかかりすぎるという問題だけではない。四半期決算にとらわれていると企業経営にゆがみが出るのではないかと危惧する経営者が多いのである。
実際に、経営者が短期の数字にとらわれすぎているのではないかと思わせるような現象も起こっている。非正規労働への過度の依存、速やかすぎる雇用調整は、経営者が短期的な数字をつくるために出てくる問題である。緊急事態が発生したときには、短期対応が不可欠だが、それに目を奪われてしまうのは問題である。こういってしまうと、株主軽視だという投資家の反論が返ってくるが、話はそれほど単純なものではない。
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