クチコミに関して、患者と専門医、医療機関をつなぐサービスを提供する、医療ITベンチャー企業のリーズンホワイの塩飽(しわく)哲生氏は次のように指摘する。

「クチコミは誰がどういうデータに基づいて発信しているのかという情報源が重要です。患者さんは自分が経験したことが一番印象に残ります。がんでもステージや治療法が異なり経験値が違うので、気をつけるべきです。逆に利点はデータではない部分、ドクターの説明がわかりやすいとか、人となりなどの印象、スタッフの対応などがわかるのはクチコミのいい点だと思います」

医師やスタッフの感じ、院内の様子などはクチコミ評価が参考になるのは確か。ただし、あくまでも患者の主観だということを認識したうえで、鵜呑みにせずうまく利用したい。

一方、ランキングについてはどのように活用すればよいのだろうか。

「ランキングが役立つのは、難しい診断や手術が明らかに必要な重い病気です。がんの場合、胃がんならどの病院、肝臓がんはどこが得意といったランキングは、ある程度参考になると思います。大きな病院ではDPC(診断群分類別包括評価)データを公開しているところが多いので、手術件数や患者数などの数字は嘘をつきません。手術数が多いと経験値も高まるほか、看護師など周りのスタッフのスキルも高いので医療ミスが起きにくい。また、医療機器への投資もしやすく、最新の設備が整っているなどのメリットは大きいでしょう」(楊氏)

塩飽氏も「ランキングのいい点は、やはり数字でわかるところです。データの取り方が適切であれば数字は嘘をつきません」と客観的データの有効性を評価する。ただし、ランキングの注意点についても指摘する。

「手術件数が多いほうが経験値が高いのは確かですが、例えば整形外科だと、リハビリに力を入れている病院なのか否かによって、再手術率が変わってきます。再手術率が高いと手術件数も多くなる。ですから、データの読み方にも注意する必要があります」

AIで、患者と専門医がつながる

また最近は、ランキングにも用いられる前述のDPCデータや論文データと人工知能(AI)を活用して、自分に合った医師を探すことができると塩飽氏は語る。

「AIのおかげで、がんに関し、厚生労働省が公表している病院のDPCデータベース(疾患および術式別患者数)と、約20万人の医師による40万件の論文データに基づき、先生の専門領域と患者さんを結びつけることができるようになりました。Findme(ファインドミー)というサービスの中で利用できますが、機械学習によりその精度は高まっていきます」