投資額は、賃貸なら300万~400万円
そのままでは売れない、家を壊しても見合わない。空き家のまま放っておいても固定資産税などの維持費はかかる。八方塞がりじゃないか。
「いえ、貸すという手がありますよ」
えっ、他人に? あのボロ家を?
「実家を処分したいという方は、何とか売れないかとは考えるが、貸家にすることを考える方は意外と少ない。ボロ家のままではだめですが」
人が住めないほど傷んだ状態なら、当然話にはならない。しかし、住む分には問題がないのなら、壁のクロスを張り替えたり、傷んだ建具や水回りを直すなど、多少のリフォームを施せば、戸建て貸家として通用する物件は多いという。
「最近まで親が住んでいた家なら、28~30坪程度でも借り手はつきます。地方都市の郊外でも、戸建て賃貸は利回り10%くらいで回せます。リフォーム費用も回収できますよ」
立地と物件にもよるが、ワンルームのアパートの賃貸相場が3万円程度の地域なら、戸建て貸家の家賃は6万~7万円ほど。しかも「戸建て貸家にすると売れる」ともいう。
「戸建て賃貸は、投資物件として需要があります。新築のマンションや戸建てだと、投資額は数千万円になりますが、築古物件の賃貸なら、せいぜい300万~400万円ほど。築古物件を買ってリフォームし、入居者をつけて売るというビジネスは、弊社も手がけています。けっこう買い手も多いんです」
とはいえ、素人のわれわれでは、どれくらいの費用をかけて、何をどうリフォームすればいいのかわからない。実家のある地域とはいえ、不動産事情や家賃相場にも疎い。
「地元の不動産業者に相談するのが近道だと思います。地方には、戸建て貸家を扱う業者が案外多いんです。信頼のおける中堅どころを選ぶのがいいでしょう」
築古物件でも、戸建て賃貸が見込めれば、リフォームから入居者の募集、その後の運営・管理までを引き受けてもらえるだろうと石井氏はいう。築古の実家を持つ身、これでだいぶ肩の荷が軽くなった。
賃貸利回りは、30~40%
東大阪市に、築古物件を戸建て賃貸として再生させるばかりではなく、不動産投資家とのマッチングまで行う団体があると聞き、訪ねてみた。
一般社団法人・全国古家再生推進協議会。会員数は約3000人で、実際に再生した物件は600軒を超えるという。
「うちで扱ってきたのは、ほとんどが築40年前後の築古物件です。20坪以下の狭小住宅も多い」――そう語る理事長の大熊重之氏は、オークマ工塗という部品塗装会社を営む。
本業の傍ら、同協議会を設立したのは2014年だが、不動産に目を向けたのは10年ほど前にさかのぼる。