病気、介護、お金、片付け、空き家、お墓……。「実家」のさまざまな問題を解決するにはどうすればいいのか。「プレジデント」(2017年9月4日号)の特集から処方箋を紹介する。第8回は「孤独死リスク」について――。
死んで放置されると、3日で腐敗が始まる
孤独死が最も多い季節は夏です。死因の大半は熱中症。ゴールデンウィークあたりから増えてきます。体が暑さに慣れていないときにいきなり猛暑日になった夜、睡眠時に大量に汗をかいて脱水症状になり、そのまま起きられなくなる。そうして、ベッドや布団の上で、もがいた跡もなく亡くなられる方が多いです。
死んだまま放置されるとどうなるのか。夏季であれば、3日もすれば腐敗が始まり、糞尿や体液が染み出て異臭が漂います。5日するとウジが湧き、1週間もすれば何万匹というハエがご遺体に群がって、ご遺族に見せられないぐらいの状態になります。2週間経つと故人を特定できないぐらいに腐敗し、警察が本人確認のために、DNA鑑定を行うことになります。
痩せているか太っているかでも違います。痩せている方は比較的臭わず、虫の発生も少なめですが、太っている方は脂が溶けて腐るので、臭いも凄い。特に臭うのは脂と内臓です。
清掃するときには、ベッドで亡くなられた場合、マットレスが血液や体液を吸収してくれるので、比較的周囲への影響は少ない。しかし、畳やクッションフロアで亡くなった場合には、吸水力がなく体液が下に落ちますので、大変です。集合住宅では下の階からの通報で発見されるケースが少なくありません。
こうした状況になると清掃だけでは復旧できず、リフォーム工事が必要になります。柱や梁にも体液が染み付いてしまうので、床や壁を解体しての大工事になり、費用もかさむ。最も費用が高いのがお風呂場やトイレで亡くなられるケース。冬にヒートショック(温度差で心臓発作などを起こすこと)で倒れられる場合が多いのですが、ユニットバスやトイレなどを交換するとなると、単価が高くなります。