オンラインサービスの利用状況に関するデータを分析

Alipayはオンライン通販のアリババ集団、Wechat PaymentはSNSのテンセントという金融業以外の巨大企業によって運営されており、あっという間にモバイル決済の主役の座を確立した。

こうしたIT企業は、SNS・メッセンジャーアプリ(テンセント)、Eコマース(アリババ集団)などスマートフォンを通じたオンラインサービスの利用が拡大する中、利用状況に関するデータを分析することで利用者のクレジットレーティングを査定し、そのレーティングに基づいた金融サービスを提供している。

実際、テンセントはWechatというメッセンジャー・アプリケーションで、先述したモバイル決済のほか、インターネットMMF(短期公社債投信)、貸付といった金融サービスを提供している。こうしたSNS・メッセンジャーアプリ等と結合した金融サービスは、SNSを利用するついでに金融サービスを享受することができ、既存の金融機関が提供するサービスに比べて容易にアクセスが可能である。

またフィンテック企業は複数の金融サービスに関してトータルでマネタイズすればよいことから、一部の金融サービスに関しては極めて安価に提供することが可能である。こうしたSNS・メッセンジャーアプリ等と結合した金融サービスは、ソーシャル・イノベーションに該当することから、既存の金融機関にとって最もディスラプティブ(破壊的)となりうるフィンテックのケースの一つと言えるだろう。

表は四つのイノベーションを基準に、金融業の業態別に金融イノベーションの創出状況を整理したものである。業態は(1)銀行、(2)保険、(3)アセットマネジメント、(4)証券、(5)各業態に横断的な共通分野の五つに分類している。