コーヒー好きの女性も増えた

――昭和時代には「紅茶のおいしい喫茶店」という歌がはやりましたが、ティーサロンは減りました。

もともと紅茶を好むのは女性でしたが、コーヒー好きの人も増えました。紅茶がおいしい店は、気のきいたスイーツやサンドイッチなど、サイドメニューの上品さ、上質な雰囲気が求められたのです。だから百貨店と相性がよく、百貨店内にはティーサロンがあります。しかし最大手のティーサロンチェーン店でも、売り上げの過半数はコーヒーです。働く女性が一般的となり忙しく、平日の昼間に紅茶でゆったり……という生活習慣も減りました。

消費者の「舌」はどう肥えたのか

――男性客中心の「喫茶店」から、「カフェ」となり、女性客がブームを牽引しました。20代や30代の店主も増え、高級なコーヒーも飲める時代です。消費者の意識はどう変わりましたか。

人によりますが、コーヒー好きな人が増えて経験値が上がり、間違いなく「舌」は肥えています。でも、「好き嫌い」=自分にとっておいしい・おいしくないで判断しています。嗜好品なので、どう楽しむかは人それぞれですが。一度、本当においしいコーヒーを飲んだ人は、その違いに驚き、価格の高さにもびっくりします。店側の工夫も大切で、コーヒー先進国・ドイツのように、「高い=おいしい」になるまで、まだ時間がかかると思います。

消費者の意識は変わりました。例えば高級スーパー「成城石井」のコーヒー豆売り場のゴールデンゾーンに置かれているのは、京都の「小川珈琲」の豆です。「UCC」でも「キーコーヒー」でもありません。もともとコーヒーの飲用場所で圧倒的に多いのは「自宅」で、次いで「職場・学校」です。これは昭和時代から変わりませんが、平成時代はこの2つが際立っています。

そうなるとカフェは「コーヒー豆」販売の大切さを、考え直さなければなりません。