就職でも地方はハンデではなく強み
地方という立地は東京・大阪という大都市圏から離れている。そのため、就職活動では不利になる、というのがこれまでの定説だった。
しかし、長く続く学生有利の売り手市場から企業側は東京・大阪だけで採用すれば事足りる、ということはない。企業からすれば地方大学の学生は魅力的でもある。
「東京や大阪の学生と違って純朴で素直。しかも、距離が離れているハンデを学生自身が理解している。それでわざわざ説明会やインターンシップに来るのだからハングリーさが違う」(専門商社)
「数から言えば東京や大阪の学生の採用者数が増えるのは当然。ただ、視点を広く持つ、という点では地方出身者も採用していく必要がある」(機械メーカー)
など、好意的に見る採用担当者は多い。地方の学生が就活で自ら動く、という事例も増えている。
北九州市立大学(福岡県)では、学部3年生と院1年生が、合同業界研究会を例年主催。企業への参加依頼から運営・企画まで担当し、自分たちの就職先を開拓している。
鹿児島大学では内定学生が運営メンバーとなるPFFプロジェクトが18年で4年目を迎える。採用担当者に参加を依頼する一方で、鹿児島大学や他大学の学生に告知。11月下旬に模擬面接・グループディスカッションと就職講演や企業との懇親会などを組み合わせたイベントを開催。毎年、規模が大きくなり、17年は約20社・参加学生は70人だった。学生は鹿児島大生が大半だが、山口大学・長崎大学・熊本県立大学などから参加した学生もいる。
参加企業は鹿児島県内企業3割・九州エリア内企業2割・全国区の大手企業5割というところ。18年の中心メンバーとなる内定学生(大手通信企業に内定)は、その意気込みをこう話す。
「鹿児島だから遠い、鹿児島だから就活に不利、と落ち込む学生は後輩にもいます。ただ、私自身が就活していて思ったのは、そんなのは無関係。大学時代に頑張った勉強や部活はきちんと就活でも評価してくれるし、そこに鹿児島なのか、東京なのか、という違いはありません。それとこういう就活イベントを実施すれば、地元だけでなく東京や大阪の企業の採用担当者もわざわざ来てくれます。後輩にも参加企業の方にも『鹿児島だからよかった』と言ってもらえるようなイベントを目指したいです」