地方であっても企業から注目される
金沢工業大学(石川県)は面倒見の良さから00年代以降、ずっと注目されている大学である。が、研究力の高さはもっと注目されてもいい。例えば、航空工学系で強い大学の証明となるのがボーイング社のエクスターンシップ・プログラムだ。誰もが知る航空機メーカーの人材育成プログラムに参加する日本の大学は東京大学、東北大学、名古屋大学、九州大学の国立旧帝大4校が並ぶ。私立は金沢工業大学1校のみ。同プログラムを金沢工業大学では大学院機械工学専攻の授業の一環として実施している。4年制の学科である航空システム工学科でも研究力の高さに触れることは可能だ。
立命館アジア太平洋大学(通称・APU/大分県)は00年の開学当初から、グローバル人材を育成してきた。世界各地から留学生を受け入れ、その留学生と日本人学生の半数はキャンパス内にある寮で一緒に生活をする。「寮では香辛料をどこまで使うかなど、本当にささいなことで口論をする。お互いの常識が通用しないので口論をしたり話し込んだりしながら、視野が広がった」と、ある卒業生は回想する。
寮は留学生・日本人学生とも1年のみで、2年次以降は大学のある別府市内のアパートやマンションで生活する。別府市内では「APUの学生がいないと働き手などが回らない」と言われるほど、地元に定着している。
この立命館アジア太平洋大学は18年、ライフネット生命保険の創業者である出口治明氏が学長に就任した。7月には起業家学生を支援する「APU起業部」を立ち上げ(出口学長が塾長)、起業のノウハウを伝授する。
起業だけでなく就職も順調で立地の悪さをものともせず、学内説明会の開催を希望する企業は多い。同じことは秋田県にある国際教養大学にも言える。
立命館アジア太平洋大学は00年開設ながら、現在では九州エリア内で「私立大では西南学院大学、福岡大学と同じポジション。グローバル企業への就職を目指すならAPUのほうが上」と見る高校教員が多い。