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公立化が進む地方大学の現実

地方大学で今、トレンドとなっているのが私立大の公立化だ。2009年の高知工科大学を皮切りに、地方私大が次々と公立化した。

AFLO/読売新聞=写真

私立大が公立大となっても、運営する自治体の財政負担が増えるわけではない。自治体が公立大に支出する運営費交付金には国からの地方交付税交付金が充てられる。そのため、自治体の財政負担は重くなるわけではなく、学費も私大よりは抑えることができる。

受験生やその親、進路指導の高校教員からみても公立化は悪い話ではない。学費負担を抑えることができるし、高校からすれば公立大学への進学実績は高校のアピールにもなるからだ。

実際、それまで私立大だった地方大学が公立化すると、その年の倍率は前年度から極端に跳ね上がる。16年に公立化した福知山公立大学(京都府)は前年の受験者がわずか73人、競争率は1.0倍だったが16年には1540人、17.1倍(一般入試)に跳ね上がった。

19年も千歳科学技術大学(北海道)が公立化を予定しており、さらに今後も公立化の波は続きそうだ。

定員割れしていた地方私立大がよみがえったケースがある。共愛学園前橋国際大学(群馬県)は1999年の開学。翌年には早くも定員割れとなり、群馬県内の高校教員からは冷たい目で見られていた。とてもではないが進学先として勧めてくれるわけがない。ところが現在、共愛学園前橋国際大学は群馬県内でトップ私大と目され、県内の高校教員からは高く評価されている。同じく県内で冷ややかに見られていた04年に開学した創造学園大学があったが、こちらは13年に廃校となっている。

なぜ定員割れだった共愛学園前橋国際大学は復活できたのか。資格特待生制度(推薦・一般入試合格者のうち、実用英語検定2級、情報処理技術者試験、日商簿記2級などの取得者に対して授業料全額を免除。現在は1年間のみ)やコース制度の整備などが大きな成果をあげた。しかし、大森昭生学長は「教育力」と話す。

「資格特待生制度も注目され、優秀な学生も入ってきました。ただ、一番は教育だと自負しています。具体的には入試のレベルを下げませんでした。下げてしまうと、それだけ学生のフォローができなくなります。やみくもな学生集めに走るのではなく、学生をしっかり育てることで社会的責任を果たしたのです」

現在では、地元の高校からも企業からも高く評価される大学に変身した。