東京都内の勤務医給与は1500万を超えない
では、勤務医の給与はどうだろうか。東京都内では、医師の年収は後期研修5年目くらいから1000万円を超える。ただ、1500万円を超えることは難しい。都市部や都市近郊で週1回、外勤など時給1万円程度のアルバイトで年300万、最大で400万円稼げる場合もある。さすがの時給だが、それも今は当直や土日の勤務、常勤の医師の代理など、きつい仕事が目立つ。
都内の世田谷や目黒のような高級住宅地に住みながら、平均給与が都内と比べて遜色ない埼玉県内に通勤する医師もいる。埼玉は人口増で、特に中小の病院が相当増えた。が、最近は生き残り競争が厳しく、いつの間にか病院が別の名に変わったり、診療所や介護施設に転じるなど安泰とはいえない。
地方の勤務医の好待遇は、医師が足りないからだ。以前なら、大学を卒業した医師はその県の医局に7割方入ったが、2004年から導入された新医師臨床研修制度によってそうした縛りが解け、医局入りは4割程度に激減。医師に人気の低い地域では、給与を上げて他県から招かざるをえなくなった。
医師の充足率は「西高東低」
関東なら群馬、さらに岩手まで北上すると、勤務医の年収は1500万円から2000万円に届く。それを上回るには院長以上のクラスでなければ無理だろう。前出以外の東北各県は公立病院が多く、突出した金額は出せないのかもしれない。
医師の充足率は「西高東低」ともいわれ、関西ではそこそこ足りている。京都は舞鶴などでは不足しているが、全体としては充足傾向だ。今も出身大学の縛りが比較的強く、医師が勤務先の病院を自ら選ぶのは難しいようだ。
ただ、医師を目指す人の多くは、稼ぎたいというよりも安定志向。医師になった時点でプライドは満たされるし、ガツガツする必要もないだろう。高収入というだけではなく、やはりその土地で育った人、その土地で研修を受けた人が愛着を感じて残る場合が多い。高年収でも、まるで縁のない土地にはなかなか行きづらいようだ。