具体的だと達成イメージを抱ける

代表選考会で優勝を収めた体操選手Dさんの新たな目標に対して、「けっこう細かい目標を立てるのだな」と思った読者もいるかもしれません。実は目標とは、具体的であればあるほど効果的なのです。

鈴木颯人『モチベーションを劇的に引き出す究極のメンタルコーチ術』(KADOKAWA)

事実、常に果敢に挑戦をくり返し、実際に世界で結果を出しているアスリートほど、目標が具体的で明確です。「オリンピックで金メダルを取る」も具体的ですが、「史上最高得点を2回達成する」は、さらに具体的です。これほどまでに目標を具体的にするのには、理由があります。

それは、目標が具体的であればあるほど、達成したときの様子をイメージしやすいからです。また、将来像を明確にイメージすればするほど、ワクワクしやすくなります。ワクワクすると、すすんで「もっと頑張ろう!」という気持ちになります。その効果を狙っているのです。

目標に「期日」を定める

さらに、期日を定めることも、目標を達成するうえで大切なポイントです。私はこれまで、1万人以上のアスリートと会ってきましたが、そのうち、目標に対して期日を定めていない人が9割以上でした。

「別に期日を定めなくても、目標さえあれば十分では?」と思う人もいると思います。しかし、期日のない目標は、ゴールのないマラソンを走らされているようなもの。「一体いつ終わるのか」「ゴールはどこにあるのか」と、走りながら不安でいっぱいになることと思います。これでワクワクしろというほうが難しいでしょう。

サッカー日本代表の本田圭佑選手は、小学生の卒業文集に、将来の夢は「セリエAに入団し、10番で活躍すること」と明記していました。メジャーリーガーのイチロー選手も、「プロ野球に入団し、ドラフトでの契約金は1億円以上が目標」と明記しています。プロゴルファーの石川遼選手も、「20歳、アメリカに行って世界一大きいトーナメント、マスターズ優勝」のように、年齢ごとに具体的な目標を掲げています。

子どもであった彼らがなぜここまで具体的に目標を描けるのか不思議でなりませんが、それほど明確なイメージを頭の中に描いていたからこそ努力を続け、結果を出し続けていられるのだと理解しています。

いきなりここまで具体的な目標を書けないにしても、「自分は何を目指すとワクワクするのか」を考えることで、日々の行動が変わってきます。一流のリーダーは、具体的な目標を立てるだけでなく、期日まで設定するのです。