「将来はないと思え」と部長を通じて相澤氏に通告

しかし、この報道に小池報道局長は激怒し、大阪放送局の相澤氏の上司、A報道部長に電話をかけてきて、「私は聞いていない。なぜ出したんだ」と電話口で吠えたそうだ。

そして、「将来はないと思え」と、A部長を通じて相澤氏に通告したのである。

その後の人事で、相澤氏は司法担当キャップをはずされてしまう。だが、後任に来たキャップは、森友学園問題を取材しない、検察取材はしないと相澤氏に宣言し、「彼は本当に回らなかった。呆れるほど回らなかった」そうだ。

今年の3月2日朝刊で、朝日新聞が「財務省が森友の国有地関連の公文書を改ざんしていた疑いがある」という大スクープを放つ。

財務局は国会で、改ざんの事実を認めた。その記事が出た5日後、近畿財務局管財部上席国有財産管理官のA氏が自殺してしまうのである。A氏の遺書には「佐川」「麻生」という名前があったという。

「これが偶然か、政治的配慮かはわからない」

新しいネタを追っていた相澤氏は、昨年2月に、近畿財務局側が森友学園に、「トラック何千台もゴミを搬出したことにして欲しい」と電話をかけていたという超ド級の情報を掴む。

これを夜の『クローズアップ現代+』でやろうとするが紆余曲折があり、『クロ現』ではやれず、『ニュース7』では最後に短く報じられただけだった(『ウオッチ9』では時間を取って報じられたようだが)。

安倍官邸への忖度はNHKだけではなかったようだ。大阪地検の森友学園へのガサ入れは、国会の閉会を受けた安倍首相の記者会見が終わるのとほぼ同じタイミング行われたそうだ。

相澤氏は「これが偶然か、政治的配慮かはわからない」としているが、検察の目も官邸に向いていたことは間違いないだろうと思う。

そして急転直下、国有地を森友学園に安く売った近畿財務局の担当者らの背任容疑を捜査していた大阪地検特捜部が全員不起訴と発表し、山本真千子部長は、その功績(?)で、函館の検事正へと栄転するのである。

相澤氏は記者を外される。

相澤氏のNHKでの最後の特ダネは「森友事件で財務省関係者全員を不起訴 大阪地検特捜部」だった。