子に打つ手はないのだろうか。

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「対応策としては、母親に『自分の財産はすべて子に遺す』と遺言を書いてもらうこと。この場合も、配偶者から法的に最低限相続できる『遺留分』を請求される可能性は残る。それも避けたいなら、母親の再婚を阻止するべきでしょう」(同)

亡くなった父親に借金があった場合も面倒が待ち構えている。

「遺産相続では、自宅や現金、預金などプラスの財産だけでなく、借入金や連帯債務などマイナスの財産も引き継ぐことになります」(同)

プラスの財産よりマイナスの財産のほうが大きい場合には「相続放棄」という方法がある。放棄はしたくないものの、借金を背負うことは避けたい場合には「限定承認」という選択肢も。これは、プラスの財産でマイナスの財産を弁済しても借金や債務が残る場合は、弁済の必要がないという相続方法だ。プラスの財産のほうが大きい場合には、残った財産を相続できる。

「全財産がいくらあるかわからない場合があります。損をしたくなければ『限定承認』を選ぶとよいでしょう」(同)

仮に、金融資産が2000万円、借金額が不明であるとき、「限定承認」を選べば、金融資産で借金を弁済する。借金が1500万円なら、余りの500万円を相続できる。借金が2500万円なら、金融資産の2000万円で弁済しても、500万円の負債が残るが、これを自分の資産を持ち出して弁済しなくて済むのだ。

中里妃沙子
弁護士
丸の内ソレイユ法律事務所代表。1995年弁護士登録。年間300件以上の離婚相談を受ける。法政大学大学院環境マネジメント科兼任講師。