民主党には「いまこそ、互いに協力すべきだ」と擦り寄り
「ねじれ」を気にしたのか、下院で過半数を獲得した野党の民主党に対し、トランプ氏は記者会見で「いまこそ、互いに協力すべきだ」と経済政策や貿易問題などでの協力を呼びかけた。
なんて身勝手な男だろう。己を利するためにはなりふり構わない。この機会に民主党はトランプ氏の“擦り寄り”の隙を突いてトランプ氏と戦ってほしい。それによってトランプ氏を指示する白人の保守層も目を覚ますのではないか。
だがトランプ氏も抜け目ない。今後、ロシア疑惑や納税問題の追及を民主党が強めるのなら、共和党が過半数を取った上院で、民主党に関する疑惑を調査することを示唆している。
トランプ氏対民主党の戦いの火蓋は切られた。
「ロシアゲート」をめぐって、司法長官を更迭
ところでロシア疑惑とは、2016年の大統領選挙中に起きたサイバー攻撃などの選挙妨害においてトランプ陣営とロシア関係者の共謀が疑われているもので、ニクソン大統領を失脚させたウオーターゲート事件になぞらえて「ロシアゲート」とも呼ばれる。
このロシア疑惑をめぐってトランプ氏は中間選挙の結果が出ると、すぐに自らに非協力的な司法長官を更迭し、代わりに疑惑の捜査に批判的な司法長官首席補佐官を長官代行に充てた。
民主党に不祥事を追及される前に体制固めを急いだのだ。自らの疑惑を否定するために人事権を行使して捜査を妨害する。ウオーターゲート事件ではワシントンポスト紙がニクソン大統領の陰謀をみごとに暴いた。今回もアメリカのジャーナリズムに大きく期待したい。
「日本はアメリカを不公平に扱ってきた」
共和党が上院の過半数を制した中間選挙の結果には「1期目の中間選挙としてはケネディ大統領以来の歴史的な快挙だ」とトランプ氏は自画自賛する。下院の敗北には「最初から予想していたことだ」と言い放った。真摯に反省ができない男なのである。
「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は、日本に対しては来年から日本と行う物品貿易協定(TAG)交渉に触れ、「非常に低い関税で自動車を何百台も輸出し、アメリカ車は輸入していない。アメリカを不公平に扱ってきた」と批判した。
さらに7日のホワイトハウスでの記者会見では北朝鮮問題についても触れている。トランプ氏は金正恩朝鮮労働党委員長との2回目の会談を「来年初めに行う」と述べた。これまでポンペイオ国務長官らが開催の調整をしていることを明らかにしていたが、トランプ氏自身が話したのは初めてだ。よほど前回の会談が成功し、自分の偉業だと思っているのだろう。