街を歩くとテークアウトで寿司を提供している店が無数にある。「ベントー」(弁当)も完全に英語として通用していて、色とりどりのおかずが入った「ベントー」があちらこちらで売られていた。「マッチャ」(抹茶)がフレーバーとして人気で、抹茶ラテや抹茶アイスクリームの店が至るところにある。
日本の人口が減少し、今後も経済は停滞という悲観的な見通しが広がる中、海外での日本文化の影響力は明らかに強まっている。日本食の浸透は、その1つの表れだろう。
イギリスだけではない。アメリカでも、他の国々でも、日本食に人々の熱い注目が集まっているのを見聞きする。
大切なのは、海外の日本食ブームが示している日本の「強さ」は何かを見極めることだろう。
それは、端的に言えば、さまざまな影響、要素を混ぜて、調和させる力。
ラーメンにせよ、カツカレー、親子丼にせよ、純粋に日本的なものと言うよりは、海外からの影響をうまくブレンドして調和した「かたち」にしている。そのような折衷主義が、グローバル化する世界における1つの模範、先取りになっている。
寿司も、日本生まれだが、さまざまな巻物、アレンジに見られるように、実は応用の自由度が大きい。どんなブレンドも受け入れてしまうところに、寿司という「フォーマット」の可能性がある。
形式にこだわらずに、柔軟に吸収、ブレンドして創造する自由。ここに、日本の可能性の中心がある。
日本食の強さが、日本のこれからの発展につながるためには、私たちは、自分たちが得意なことを見極める必要があるのだろう。