成功の形は似ているが、失敗の形はそれぞれ異なる

ロシアの文豪、レフ・トルストイの名作『アンナ・カレーニナ』の冒頭は、こんな意味の文章で始まる。

『アンナ・カレーニナ』はたびたび映画化されている(画像は2012年の映画ポスター)。(AFLO=写真)

「すべての幸せな家庭は似ている。不幸な家庭は、それぞれ異なる理由で不幸である」

やがて1人の女性をめぐるドラマが始まるわけだが、この有名な書き出しからインスパイアされた「アンナ・カレーニナの法則」をご存じだろうか?

あるものが成功したときには、それは、似たような形になる。しかし、失敗事例は、それぞれ異なる理由で起こる。

たとえば、今、成功するために必要な条件が、主なもので10あったとしよう。成功した場合には、それらがすべて満たされている。結果として、その姿は似ている。

しかし、失敗するときには、10のうち、どれが欠けているのかはそれぞれのケースで異なる。従って、失敗事例は一つひとつ異なる姿をしている。

「アンナ・カレーニナの法則」は、このように、多数の要素によってその成功、失敗が左右されるような事象について、失敗の原因がたくさんありうることを示唆する。逆に言えば、失敗した場合、一体何が欠けているのか、反省するポイントはそこにある。

勉強でも、ビジネスでも、うまくいかない場合は、一連の流れの中で何かが欠けて、引っかかってしまっていることが多い。その理由が何なのか、突き止めなければならない。

「私が失敗する理由を教えてください」という質問に答えにくいのは、その人が失敗している理由が、可能性としてたくさんありうるからである。

目標設定が間違っているのかもしれない。努力が足りないのかもしれない。結果をフィードバックできていないのかもしれない。コミュニケーションがうまくいっていないのかもしれない。