アマゾンは「決定すること」を大事にしています。「会議をすること」が目的化することは絶対にありません。むしろ、短い時間で会議が終わるのならば、全員が大歓迎です。実際、1時間を予定していた会議でも、30分でゴールに到達することができたら、その時点で会議を終了することがよくあります。
ですから、まずは目的を明確にしましょう。「参加者たちが、会議を終えて、どのような状態になっているべきか?」を考え、参加者で共有する。すると、「会議に参加すること自体が目的になる」や、「無駄に長い会議を乗り切っただけなのに、達成感に酔いしれる」という事態を避けることができるのです。
プレゼンソフトは使用禁止!
アマゾンの会議では、プレゼンソフトを使いません。それにはいくつかの理由があります。
【理由1】「ソフト使い」の巧拙によって、参加者の受ける印象が変わってしまう
プレゼンソフトは、タイミングに合わせてページを進めたり、アニメーションを使って印象的に見せることができます。こういった機能を駆使し、メリハリをつけてプレゼンを行えば、参加者たちは「素晴らしい」と感じるでしょう。一方で、さまざまな機能を使いこなせず、見た目も悪い資料でプレゼンをすれば、参加者はあまり良い提案だと感じないでしょう。
つまり、本来は別問題であるはずの「プレゼンの素晴らしさ」と「提案内容そのものの素晴らしさ」が、ソフト使いの巧拙によって曖昧になってしまうのです。
【理由2】箇条書きだらけの資料は、後日読み直すとよくわからない
たとえば、「新事業がもたらす3つのメリット」と題して3つ見出しがあるとします。プレゼンテーターは、投影した見出しの“行間”を埋める形で話を進めます。3つの要点を端的に表示しておき、詳細は口頭で行うわけです。これは、プレゼンの常套手段として定着しています。
しかし、これには大きな落とし穴があります。後で資料を読み直すと、内容がよくわからないという問題が生じるのです。会議では、プレゼンテーターが行間を補ってくれていました。しかし人間の記憶力は曖昧なので、資料を読み返したときその意図が思い出せないのです。
これこそがまさにアマゾンで「パワポ資料禁止令」が出た理由でした。そして、禁止令を出したのは、他でもない、CEOのジェフ・ベゾス本人だったのです。