「合理的」なのに、ちっとも貯まらない「タイムイズマネー」夫

【年収800万円】田中家
●家族構成/夫47歳(会社員)、妻45歳(会社員)、長男12歳
・「合理的に」が口グセ
・家事も代行に発注
・コーディネートはプロにお任せ
▼完ペキ主義の人が陥りがちな落とし穴とは

田中家(仮名)の夫は、お金で「時間」や「プロの力」を買うことが、合理的で豊かな生活につながると考えていた。

たとえば洋服なら、自分でコーディネートを考えるのは時間の無駄だし、あげく「やっぱり自分に合わない」と着なくなるとロスが出てもったいない。それならパーソナルコーディネーターに春夏、秋冬に、買い物に一緒に行って選んでもらい、まとめ買いするのがいい、といった具合だ。年1回のコンサルタント料のほか、購入した洋服の金額に応じて報酬を支払っているという。これらの支出は、毎月の家計簿には含まれておらず、見えない赤字となっている。

夫の合理主義はこれにとどまらない。「体が資本だから」と健康を維持するためにパーソナルジムに通う。さらに、「忙しくて時間がないからといって、食卓が貧相になったり、家の掃除がおろそかになったりするのはイヤ」などと理由をつけては、週3回の家事代行サービスを依頼し、掃除に加え常備菜まで作ってもらう始末。

そんな夫に対し、妻は「いくらなんでもやりすぎでは」との疑念を抱いていた。だが夫に、「もし家事をしっかりやろうと君が頑張ったら、体調を崩すかもしれない。それで医療費がかかったら非効率」と言われると、反論できなかった。

しかし、家計は赤字なのだ。そこで、パーソナルジムに通う回数を減らしたり、栄養素を効率よく摂るためのサプリの種類を減らした。家事代行も、ある週は掃除だけ、ある週は料理だけ、というふうに、都合に応じて一部だけを利用するように切り替えた。パーソナルコーディネーターはまだ続けているが、夫のこだわりがあるので、しばらくは仕方のないところだろう。