ここまでのステップで新しい脳機能としてのライフスキルを身につけたら、次はこの力をさらに磨きましょう。私はライフスキルを3つに分類しています。

まずは自分で自分の心をご機嫌にする力をライフスキルの中でも「社会力」と呼んでいます。さまざまな外部の状況や出来事が次から次へとやってくる社会の中で、自分らしく生きていく力という意味です。

残り2つは、周りの人もご機嫌な状態に導く「コーチ力」、さらには組織をご機嫌な状態に築きあげる「リーダー力」になります。ご機嫌な状態は自分だけにおさまらず、広く実現できれば、結局は自分のためにもなるのです。たとえば、人に接するときは、積極的に挨拶や「ありがとう」と口にするだけで、口にしている自分もご機嫌になるのです。

日々の生活の中でライフワークの3つの力を磨くワークをまとめました。ぜひ実践してください。

「ライフスキル」を磨くためには何をしたらいいか?
▼社会力
「自分の心をフロー状態にする脳力」を高めるワーク
●仕事をしているときの「楽しいこと」をリストアップしてみよう。そして、「結果に依存している『楽しい』」の項目に×を、「自分さえいればつくりだせる『(過程の)楽しい』」の項目に○をつけてみよう。
(例)
・企画書をつくっているのが楽しい ○……自分でつくり出せる
・売り上げが伸びると楽しい ×……結果に依存する
・「ありがとう」と言われたら楽しい ×……相手の反応に依存している
●「今」という言葉を意識的に使って、今を選択する思考を鍛えよう。1日にどのくらい使うのかも自分で決めよう。
(例)
「今に生きる」「過去より今」「今に集中」などを1日30回言う
▼コーチ力
「周りの人をフロー状態に導く脳力」を高めるワーク
●人と接するときは、まず相手の話を聴いて「わかった」と伝えよう。
●人に接するときは、時間の幅を持って、成長や可能性を見つけよう。
●人に接するときは、期待より、応援の姿勢でいよう。
●人に接するときは、見られている影響を知り、行動してみせよう。
●人に接するときは、「楽しい」を大事にし、結果ではなく、過程の楽しさを褒めよう。
●人に接するときは、積極的に挨拶や「ありがとう」を口にしよう。
▼リーダー力
「組織をフロー状態に築きあげる脳力」を高めるワーク
●自分視点から目線を上げ、人の成長を考えよう。
●組織や仲間との時間やエネルギーを惜しまず、思いや理念を共有化する。
辻 秀一(つじ・しゅういち)
スポーツドクター
1961年、東京都生まれ。北海道大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院内科、慶大スポーツ医学研究センターを経て独立。著書に『スラムダンク勝利学』など。
 
(構成=小澤啓司 写真=iStock.com)
【関連記事】
大坂なおみの「メンタル」が激変したワケ
科学的に証明された"運を引き寄せる法則"
ずうずうしい下品な人が出世していく理由
人の気持ちがわからない人の致命的理由3
孫正義はなぜ身銭を切らず成功できたのか