ポルシェジャパン・七五三木敏幸 社長の答え
次の場所で新たな目標を達成すべし。魅力的なチャンスが回ってくるはず。

ディーラーの数を増やせずCEOから営業本部長に

クライスラー日本のCEOになって3年目、12年にクライスラーとフィアットの日本法人が統合したときに、私はCEOを解任されました。

アメリカ本社が求めるレベルの再建には至らなかった。3年間で販売台数を3倍に増やす目標は十分に達成できたんですが、ディーラーの数がまったく増やせなかった。倒産ブランドが新規の販売店をつくるのは難しい。そういう意味ではある程度は納得していました。本社のCEOから「今後の身の振り方についてはオファーが3つあるから、選んでくれ」と言われて、私が選んだのはクライスラーとフィアット兼任の営業本部長でした。

社長を降ろされて営業本部長というと皆さんから「大変だね」と言われる。でも私にとって慣れ親しんだ世界です。メルセデス・ベンツではいろいろなディーラーさんの母体とお付き合いさせていただいた。クライスラーにはクライスラーのディーラー母体があるし、フィアットのディーラー母体もまた違う。営業本部長になればまた現場の付き合いが広がって、新しい知り合いがどんどん増える。

「リタイアする日を指折り数えて堪え忍ぶ」でいいのか

新しい仕事をやって、信頼を得て新しいつながりができれば、もっといい仕事に巡り合えるかもしれない。そういう気持ちのほうが強かったですね。

私の友人でも、50歳過ぎて役職定年を迎えて、出向するケースが多い。大概は敗残兵みたいな気持ちで新天地に赴いて、リタイアする日を指折り数えて堪え忍ぶ。でもそうじゃない人も何人かいますね。行った先で前向きな目標をつくってチャレンジする。出向先で部長、役員、取締役、専務と上がって、17年から本社の副社長に復帰した友人もいる。

与えられた条件の中で前を向いて頑張っていれば、チャンスも回ってくると思います。