「スマホがレジ」など想像つかないかもしれないが、iPhoneの初代が発売されたのはたった10年前にすぎない。たった11年前には地球上の全人類がまだガラケーを使っていた事実を考えれば、決して夢物語ではないのだ。アマゾンゴーがいつ日本に上陸するかはわからないが、「アマゾンペイ」を使えば「スマホでレジ」のみならばすでに実現できるはずだ。

消費のあらゆる場面に食い込む

成毛眞(著)『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)

また、アマゾンペイでは、キャッシュレス決済のみならず、便利なサービスがたくさんある。例えば、オートマチックペイメント機能もそのひとつ。一定額を自動的に支払い、その範囲で商品やサービスを受け取れる仕組みだ。例えば、1カ月に5000円が毎月引き落とされるようにし、5000円までを毎月使えるように設定できたりする。

現在アマゾンでは、オートマチックペイメントを使うときは、コンタクトレンズなど「決まった商品を定期的に届ける」という用途が一般的だ。しかしこれを、実店舗へ導入して店に来た客にQRコードをかざしてもらったり、店舗内にビーコンと呼ぶ無線機器を設置したりして認証ができれば、レジでお金を払わなくても、オートマチックペイメント機能を使って設定した金額の中で自動決済が可能になりうる。

アマゾンの経済圏は、もはやオンラインだけではない。培ってきたテクノロジーを生かして、われわれの消費のあらゆる場面に食い込もうとしている。

成毛眞(なるけ・まこと)
書評サイト HONZ代表
1955年、北海道生まれ。中央大商学部卒。マイクロソフト社長を経て投資コンサルティング会社インスパイアを創業。書評家としても活躍。著書に『黄金のアウトプット術 インプットした情報を「お金」に変える』『成毛流「接待」の教科書 乾杯までに9割決まる』『AI時代の子育て戦略』など。
(写真=AP/アフロ)
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