東京五輪を機に日本も「キャッシュレス社会」へ

電子決済の仕組みは簡単だ。店舗端末で客のスマホに表示されたバーコードを読み取るか、逆に客が店のQRコードを読み取って金額を入力するかで決済できる。

日本銀行が2017年6月にまとめたレポートによると、中国の都市部の消費者は、98.3%が過去3カ月以内にモバイル決済を利用したという。すでに、現金がなくても不自由しない社会が実現しているのだ。「アリペイの普及で財布が中国から消えるのではないか」という冗談が、今や冗談でなくなりつつある。

ちなみに、前出の日銀の調査では日本のモバイル決済率はわずか6%だった。現時点ではほとんど普及していないに近い。中国でモバイル決済が爆発的に増えた背景には、偽札が多いことや、現金以外の支払い手段が整備されていなかったので、普及が早かったなど、単純な比較はできない。

現在、日本ではLINEや楽天などもリアル店舗での決済サービスを強化している。日本に訪れる中国人観光客の需要を取り込むべく、百貨店やローソン、ドン・キホーテもアリペイに対応している。また、政府も2020年の東京五輪の開催を視野に、現金を支払い手段としない「キャッシュレス社会」の実現を目指している。

アマゾンペイの店舗での支払いは日本ではまだ導入されていないが、今後お目見えする可能性は高い。アマゾンの強みは世界で3億人とも言われる顧客数だろう。3億人がすでにアマゾンのIDを保有しているので、利用する消費者もわざわざIDを設定する必要はないし、店舗側も最も認知されたアプリでサービスを使ってもらえる。消費者も事業者も、導入する障壁が競合に比べて低いのは最大の強みになるだろう。

無人コンビニ「アマゾンゴー」の脅威

また、スマホがレジになる無人コンビニ、「アマゾンゴー」の完成も、決済産業の脅威となることはお気づきだろうか。例えば、利用者の購買履歴を把握できるクレジットカードの利用情報からは、その人の嗜好はもちろん、大体の資産状況も推測できる。

すでにアマゾンはネット販売を通じて膨大な決済情報を蓄積している。アマゾンゴーは店舗からレジをなくすことで、リアル店舗では不可欠だった決済端末を店内から一掃し、一手に握ることになる。結果として、ペイパルなどの電子決済サービスや金融機関にもアマゾンゴーの影響は及ぶことになる。アマゾンが現在以上に決済情報を握れば、個人向けの金融ビジネスなどに進出する可能性も出てくる。