仕事熱心で愛妻家なサラリーマンが幸せとは限らない
極端な例なので、自分とは関係ない、そんなバカなことするはずがないと思う読者もいるだろう。だが、これに限らず、堅物で仕事一筋の人間が事件を起こすことは少なくない。共通項は、会社と家庭を取ったら何も残らないような、無趣味で単調な生活をしていることだ。仕事抜き、家庭抜きの人間関係がないため、仕事がうまくいかないとか、家庭がギクシャクすると、一気にピンチに陥ってしまう。
若いうちはそれでもいいだろう。真面目であることは信用にもつながりやすい。面白みはないかもしれないが、浮気せず家庭を大事にしそうだと、結婚を意識し始めた女性に好感を抱かれて、それなりにモテる。結婚し、人も親になる頃には仕事も忙しく、充実感たっぷり。そのまま順調に歳を重ねていく人もたくさんいる。
ただ、裁判傍聴をしていると、そうでない人もいることがわかる。
真面目で、仕事熱心で、愛妻家であれば幸せになっていいはずなのに、そうなっていないケースがけっこうある。そんなとき、いつも思う。仕事と家庭以外にひとつでいいから好きな遊びがあれば、それを通じて仲間ができたり、ストレスからの逃げ場になったりしただろうに、と。
“ちょっと興味がある”という心の動きに鈍感な人へ
もし、読者の中に自分にはこれといって夢中になれる遊びがないという既婚者がいたら黄信号。何か探し始めることを勧めたい。
そんなことはわかっているが見つからないという人は、“ちょっと興味がある”という心の動きに鈍感になっていそうだ。興味はあるが面倒くさい、いまじゃなくてもいい、たぶんハマらないからやめておこう。そんなふうに考えてしまうのだと思う。
そこで、自分なりのルールを作るのはどうだろう。
わかりやすいのは時間と予算。たとえば、<週末限定+3万円以内>という条件をクリアするものは、あれこれ考えずトライすると決めておく。あとは条件を満たす“ちょっと興味がある”が出てきたとき、出かけていくだけでいい。そして、手応えを感じたら愚直に継続していく。大丈夫、根が真面目なあなたは、決めたことをコツコツ続けることが得意なはずだから。