情報の取り方も積極性が大切

例えば地元食品会社が「美味しいはず」と自信を持って販売していても、消費者からは「ほんのちょっと甘い(辛い)」「パッケージがダサい」などの理由で、あと一歩のところで売れないケースがある。しかし大企業のようにマーケティングに大金をかけられない。

「そこで職員が食べて感想を伝えると、『今まで気づかなかった』『マーケティングは大事ですね』ととても感謝されました。実際、職員の意見を取り入れて売れるようになった商品もあります」

職員の押し出す力が功を奏した。情報の取り方も積極性が大切だ。

全国に出荷されるピオーネ、マスカット、白桃(上)。町並みが美しい倉敷美観地区(中)。瀬戸内海沿いのサイクリングロード(下)。

「例えば災害時の支援物資の輸送を調べるとき、他県からは一生懸命情報を得ようとします。しかし、もしかしたら運送を専門とする企業のほうが情報を持っている可能性があります」

従来の管理的な自治体のイメージを変え、企画力や営業力を携えた新しい職員の人材像が浮かび上がる。

「もちろん職員らしい職員がベースにならないと組織が崩壊します。でも、挑戦する県として異端の人が活躍する余地が一層広がっていると思います」

天満屋の経営を経て知事になった異色の経歴

伊原木知事自身、地元の老舗百貨店の跡取りに生まれながら大学で工学を学び、外資系コンサルティング会社に入社、スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得後、天満屋の経営を経て知事になった異色の経歴の持ち主だ。

「工学を学んだことで、経営においても根拠を基にロジックで推論する手法が役立った気がします」と、異端ならではの持ち味を熟知している。

「友達から『エッお前が県の職員!?』と驚かれるくらいの異端者がいてもいい」

岡山県の勢いを増すために、異端色あふれる人材は大歓迎だ。

伊原木隆太(いばらぎ・りゅうた)
岡山県知事
1990年東京大学工学部卒業。同年、外資系経営コンサルティング会社入社。93年同社退職。95年スタンフォード・ビジネススクール修了。その後、約1年間フランスで料理を学ぶ。98年天満屋取締役社長。2012年同社退任。同年岡山県知事に就任。16年岡山県知事に再選される。