会社が損失を穴埋めする必要がない確定拠出年金が年々増加

ある大手医療機器メーカーの人事担当役員は「当社の平均は12万円程度。部長で20万円弱だ。ただ、退職したOBの中には月額で25万円から30万円の人もいる」と語る。月額30万円だと公的年金との合計で50万円を超えるが、現役世代にとっては望んでも手が届かない水準だ。

しかし、現実はもっと厳しい。企業年金を含む退職金額自体が減少傾向にあるからだ。経団連の調査によると、12年の平均退職金は約2500万円だったが、16年は約2400万円に下がっている。その背景には企業の退職金の抑制がある。想定利率を企業が保障する確定給付年金の利率も、経営へのリスク軽減のために下げる企業が増えてきている。

3年前に利率引き下げを実施した運輸業の人事担当者は「給付利率を5.5%から2%に下げた。その結果、これまで1000万円の企業年金を15年間、毎年100万円ずつ受け取れたが今後は78万円に減ることになる」と語る。そこで導入が進むのが、会社が損失を穴埋めする必要がない確定拠出年金だ。導入企業は年々増加し、経団連の調査では57.4%の企業が導入している。

▼日本の企業年金の実態
※2017年4月人事院民間の退職金及び企業年金の調査結果参照
企業年金の制度がある?
・ある:51.7%
・ない:48.3%
企業年金の種類は?
・確定給付企業年金53.4%
・確定拠出年金(企業型)37.7%
・厚生年金基金19.4%
・従業員の選択により
・一時金として受給可能69.7%
(複数回答)
退職時にもらえる金額は?
・平均退職一時金1006.1万円
・平均企業年金1453.5万円
平均退職給付額合計2459.6万円