信頼を損なわないためのシンプルな原則

「仕事を優先して何が悪い」「予定が重なってしまったら、優先順位を付けるしかないだろ」といった声もあるに違いない。以前「『行けたら行く』と言うヤツはバカ」といった原稿を書いたが、ネットで猛烈に反発された。「本当に『行けたら行く』なんだからしょうがないだろ!」と。気持ちはわからなくもないが、ドタキャンをしても言い訳できるような余地を残して中途半端な約束を交わしたり、一度決まった予定を覆したりするのは、やはりできるだけ避けるほうがいい。

私はフリーランスになって以来、あるシンプルな原則を守っている。これを実践すれば、大抵のものごとはうまくいく。それは「先約優先」である。

とにかく相手が学生であろうが、取引先のエラい人であろうが、先約優先でスケジュールを埋めていく。私が「○日であれば空いています」と伝えたとき、相手から「その日はマズいんだよな」とゴネられても、「いやぁ~すみません、私は先約優先を徹底しておりまして……」と返すことにしている。

もちろん、相当にシビアな状況で素早い対応が必要だったり、多額の報酬がもらえるケースだったりした場合は、先約の相手に謝り倒して、予定を変更してもらうこともあるだろう。だが、最初に約束を交わした人に「ゴメン! スケジュール、変えてもらえないかな」とお願いするだけで、相手は自分が軽んじられたと感じ、信用は多かれ少なかれ低下することを覚悟しなければならない。そのあたりはもう、そこに至るまでに積み重ねた実績や信頼関係、事後のフォロー次第といえる。

できれば“若手”のタグがはずれる20代後半から、遅くとも40代を迎える前までには、スケジュール管理くらい自分主導でできる程度の人間になっていたいものだ。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・「自分で仕事をコントロールする権限」を持たない若手が約束に遅刻したりするのはやむを得ないが、40代になっても遅刻やドタキャンを重ねるような人間は「信用できない」「無能」と思われても仕方がない。
・信頼を損なわないためには「先約優先」を励行すべし。それだけで、大抵の物事はうまくいく。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。
(写真=iStock.com)
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