「理不尽な話はいつになったらなくなるのか」

新聞各社の社説はどう書いているのか。

7月19日付の朝日新聞の社説は冒頭でこう厳しく指摘する。

「他人のたばこの煙を吸わされ、知らないうちに健康がむしばまれる。そんな理不尽な話はいつになったらなくなるのか、疑問は残ったままだ」

沙鴎一歩も受動喫煙に対しては「理不尽」という言葉をよく使う。受動喫煙の被害は理不尽としか言いようがない。

さらに朝日社説は返す刀で「規制の強化に反発する自民党の抵抗で、対策の多くが骨抜きにされた、いわくつきの法案である」とも批判する。

続けて「焦点となった飲食店の扱いでは、個人や中小企業が営む既存の小規模店での喫煙が当面認められた。全国の半数以上の店がこれに当たるというから、『屋内禁煙』の原則と例外が逆転していると言わざるを得ない」

朝日社説の指摘の通りで、まったく「原則と例外が逆転」とはいい得て妙である。

あくまでも国際基準は「屋内全面禁煙」

ただし受動喫煙対策を強く求める朝日社説でも「それでも、今よりは公共施設の環境は改善される。小さな一歩ではあるが、これを足場に次のステップに進むしかない」「『屋内全面禁煙』という世界標準に近づくための、継続的なとり組みが求められる」などとややトーンが落ちるところがある。

そこで言いたい。あくまでも国際基準は「屋内全面禁煙」である。英国やカナダなど55カ国は、医療機関、大学、飲食店、バー、交通機関など8つの場所についてすべて屋内禁煙としている。

たとえば改正健康増進法や都条例のように飲食店に専用室を設けて喫煙したとしても、専用室に出入りして仕事を続けなければならない従業員は、受動喫煙の被害に遭う。それに従業員や喫煙客がドアを開けたときには、ニコチンやタール、一酸化炭素などの有害物質を含んだたばこの煙は漏れ出る。

細菌やウイルスなどの病原体を扱う実験・研究施設のように陰圧にして外部に空気が漏れないようにすれば問題ないが、それだと設置費用がかかり過ぎる。理不尽な受動喫煙を防ぐには、屋内全面禁煙しかないのである。