カジュアルな「相談」で早めに耳に入れる
私は社長時代、誰かに話を聞きたいときには、社長室に呼び出すのではなく、相手が仕事をしているフロアに自分から出向きました。
また現場で話を聞くときには、相手と同じ目線になるよう、よくゴミ箱の上に腰を下ろしていました。人は目線が同じだとモノが言いやすいですし、ゴミ箱ならなんとなく親しみやすいでしょう?
世間では「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を勧めますが、私はその順番を変えて「ソウレンホウが大事だ」と言い続けてきました。特に悪い情報ほど、四角四面の「報告」ではなく、カジュアルな「相談」で早めに耳に入れなくてはいけないと考えるからです。
それには日ごろから気軽に相談されるような雰囲気をつくっておかなければなりません。自分のほうから足を運ぶのも、ゴミ箱に座るのも、そうした意図があるからなのです。
泉谷直木(いずみや・なおき)
アサヒグループホールディングス会長
1948年生まれ。京都産業大学を卒業後の72年、アサヒビール入社。広報部長などを経て2003年取締役。10年社長。アサヒグループホールディングスの発足により11年同社社長、16年から会長。
アサヒグループホールディングス会長
1948年生まれ。京都産業大学を卒業後の72年、アサヒビール入社。広報部長などを経て2003年取締役。10年社長。アサヒグループホールディングスの発足により11年同社社長、16年から会長。
(構成=久保田正志 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)