10まで説明された人は、「わかりました」と返事をします。命令されたと感じるからです。一方、投げかけられた言葉の続きを自分の頭で考えた人は、「ここはこうすべきです」と答えます。そしてやり取りの末に「やります」と宣言する。その場合、「わかりました」と言った人とは、同じことをやるにしても気合の入り方が違います。
私の場合、部課長時代から、何につけ「やります」と宣言していました。すると途中で引けなくなって、毎度追い込まれて苦しいことになるのですが、そこを乗り越えることでビジネスマンとして成長できたと感じています。
なぜ社長室に呼びつけることをしないのか
言いたいことを途中で止めて黙って待つのはストレスでもありますが、次の世代を育てるうえで必要なことです。自分で全部話さなければ収まらない人がトップに君臨していると、部下たちはみな自分の頭で考えようとしなくなり、そうなると当のトップが去った後に副作用が出てしまうものです。
また、部下が話し始めたら、最後まで「聞く」ことも大切です。上司はつい部下の話を遮ってしまいがちですが、それはいけません。
一通り話を終えた部下は、上司の意見を聞こうと待ち構えます。しかしそこで上司が自分の考えを述べてしまうと、「わかりました」しか返ってこないことになります。そこで「君はどう考える? すぐやらなければいけないことは何か?」と、相手が主人公になるように「訊く」。それに対して相手が述べる意見を「聴く」ようにします。
情報は本来、悪いものほど早くトップへ上げるべきです。そうしないと、すぐ消せるボヤだったものが大炎上してしまったりします。しかし悪い報告をする部下は萎縮しがちで、何も手を打たないと情報が上がってくるまでに余計な時間がかかることになります。