牛肉もパンも「疾病リスク」があるのに食べていい

健康にとって有害で寿命が縮むので、ごはん、パン、牛肉、豚肉をタバコ同様に国が法律で規制したら、読者の皆さんは怒らないのだろうか。

牛肉もごはんも卵も危険!
本文で紹介した同書には、牛肉や白米の疾病リスクに加え「卵を1日1個以上食べる人は、ほとんど食べない人に比べて糖尿病を発症するリスクが42%高い」という指摘がされている。タバコ同様、高い税率を課し規制すべきなのか。(PIXTA=写真)

皆さんは、そんなことは起こらないから大丈夫とお考えだろうか。しかし、これは今後、現実的に起きうる話なのだ。

最近、非常に興味深い本を読んだ。UCLAで助教授をされている津川友介さんが書いた『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』という本で、信頼できる科学的な調査データから、体に良い食品と悪い食品をズバッと示している。私たちが毎日の食事で口にしている、あの食材もこの食材も健康へのリスクがあると知って非常に驚いた。

まず、日本人の主食である白米には、糖尿病のリスクと正の相関関係がある。つまり、糖尿病になる危険が増すということだ。さらには、牛肉・豚肉などの“赤い肉”、特にハム、ソーセージなど加工肉の摂取量が増えると、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による死亡率、がんによる死亡率がいずれも上昇すると指摘されている。同書によれば、加工肉の摂取量が1日あたり50グラム増えると脳卒中のリスクが13%増加する。赤い肉の場合は、1日あたり100~120グラム増えるごとに脳卒中のリスクが11%上がるという。

肉はがんにも影響する。国立がん研究センターが約8万人の日本人を対象に8~11年間追跡した調査によると、赤い肉や加工肉の摂取量が多くなるほど大腸がんのリスクが高くなる傾向が認められたという。

どうだろう。健康に悪いからといって、世の中から排除していたら、ごはんもパンも牛肉も豚肉も食べることができなくなる。本書では、ごはんやパンの代わりに、玄米やそばを食べることを勧めているが、毎日毎食、玄米やそばを食べ続けられるものなのだろうか。相当な苦痛ではないのか。