なぜ東京医科大は「推薦入試で便宜」を図らなかったのか
文部科学省の現役局長が自分の子供を医大に裏口入学させた受託収賄容疑で逮捕された。報道によれば、あまりの衝撃に同省幹部は「時代劇の話かと思った」と驚いたというが、私はその手口に驚いた。高等教育分野で要職を歴任し、将来の次官候補と目されたエリートがかかわったとは信じられないほどお粗末なやり方だったからだ。筆記試験に加点という手口は、答案が証拠として残ってしまう。多くの関係者を悪事に巻き込むうえに、そのうちのひとりが口を滑らすだけで発覚してしまう。逮捕後に解任された佐野太・前科学技術・学術政策局長は、容疑を否認しているというが、果たして……。
コネ入学、コネ入社はなくならない
「私立大学のコネ入学、民間企業のコネ入社は、今後もなくなることは絶対にないだろう」と飯島氏は指摘する。「むしろ人材確保のため、頭を下げて学生にきてもらう時代がくる」という。(PIXTA=写真)
「私立大学のコネ入学、民間企業のコネ入社は、今後もなくなることは絶対にないだろう」と飯島氏は指摘する。「むしろ人材確保のため、頭を下げて学生にきてもらう時代がくる」という。(PIXTA=写真)
どこの大学でも入学試験の答案は公文書として5年間程度の保管を定めている。大学側が不正に加点して合格させても証拠は残る。答案を見れば採点者もわかるから、不正加点にかかわった人間も明らかだ。佐野容疑者の息子の答案用紙だけ不自然になくなっていたとしても、それはそれで疑惑が深まるだけだ。筆記試験への加点は、裏口入学を迫られた大学側のリスクが大きすぎる。
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