酒を飲みすぎて、警察にやっかいになったり物をなくしたり、家に帰れなかったりと、失敗する人は多い。最多ハシゴ酒記録は14軒という吉田さんも、例外ではないという。

(引用者注:立ち飲みバーで隣席になった女性が)バランスを崩したはずみで振り回したハンドバッグの角が、僕の左前歯に見事にヒット。辛うじて歯は抜け落ちなかったものの、含んだハイボールの味はレッドアイ風味に変わっていた。
「学習しない人ね」
小料理屋の女将にズバリと指摘されたことがある。酔って持ち物を頻繁に失くした時期が続き、余計な苦労も背負ってきた。そんな我が身を見かねての一言だった。
〈美女ほろ酔うて〉

「地下鉄かバスで帰ればいいのに、酔っ払ってそういう知恵が働かなくなっちゃってて、地下鉄の入り口に手をついてボーッとしていたら、カードや保険証からカメラやパソコンまで入ったカバンを盗まれたこともありますよ」

健康診断は「何も異常なし」

そういう失態を犯した時、「もう金輪際飲まない」と思う人もいる。誓いが守られることは少ないかもしれないが、過ぎた酒をしばらくは反省しがちだ。だが吉田さんは、「禁酒は考えたことがない」という。

「それで禁酒しようと思う人間だったら、『酒場放浪記』みたいな番組を15年も続けてないですよ。カメラやパソコンが盗まれたときは『これで買い換えられる』って考えちゃう。人とのトラブルは起こしたことがないから、酔っても安心していられるんでしょうね。同じ店で飲んでいて『ちょっとこの人、酔い方がおかしいな』というのはわかるものです。そうしたら距離を保つ。それが酒場のマナーです。逆に自分が酔っ払った時は、ほかのお客さんから少し距離を置いたところで寝るようにしています」

なお、日々痛飲していても、健康診断で引っかかったことは一度もないという。

「非常にキレイなもんで、肝臓から何から、数値は何も異常なしです」