手取りを増やそうと副業、そして独立
元零細企業のサラリーマン鈴木リュウさん

私が就職したのは、2012年。リーマンショックの影響がまだ残っており、新卒採用の門戸を開いてくれる会社は多くありませんでした。さらに私が大学を2年留年したせいで、就職活動は難航しました。150社受けましたが社員数15人程度の小さな出版社だけが拾ってくれました。もともと本は好きでしたが、配属されたのはアンダーグラウンドな情報を扱う月刊誌の編集部。出版不況で、初任給の手取り17万円から給与は一向に上がらず、ボーナスももらえません。風呂なしアパートに住みました。

入社2年目の夏、たまたま手に取った木暮太一さんの『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』を読んで大きな衝撃を受けたのです。

その本の書き出しには「一向に給与が上がらないと嘆いている人は多いですが、では、あなたの給与はどうやって決まっているか知っていますか」と記されていました。よくよく考えれば自分は給与の仕組みを知らなかったのです。その本を読み進めていくと大きな気付きがありました。

これは自分でお金を稼がないとマズイぞ

同書には、会社員の給与は、成果報酬を取ることがあっても会社の中で予算が決まっているものだと書かれていました。つまり、会社における人件費は、テナント料やコピー用紙代と同様に額が決まっているものです。いくら仕事をがんばっても、給与は簡単に変動するものではないのです。それでは、いつまでたっても給与は上がらない。出版不況が今後も続いていく以上、ボーナスはもちろん、月給も上がらない。これは自分でお金を稼がないとマズイぞ、と思ったのを覚えています。

そこで仕事だけの毎日から脱却し、夜はできるだけ誘われた飲み会に参加するようになりました。新たな出会いから転職を試みるためです。その後、飲み会で出会った友人に記事を書いてくれないかと相談されたのです。1本3000円を週に3本で月に3万6000円の副収入。飛びつきました。