中国の米国産牛肉の輸入解禁で日本の業者が大量仕入れ
冷凍牛肉に14年ぶりに緊急輸入制限(セーフガード)が発動したのは2017年8月。四半期ごとの累計の輸入量が対前年比で17%以上伸びると自動的に発動し、年度末までEPA(経済連携協定)未締結国からの輸入は関税率38.5%から50%に引き上げられてきた。それが18年4月に解除されて約2カ月、今後も再発動の可能性は十分にあるとミートジャーナリストの高橋寛氏は指摘する。
「解除によって関税が元に戻ったため輸入が急増する可能性があります。かつて4年連続で豚肉のセーフガードが発動されたことがありますが、それは解除されるたびに翌年度の第一四半期に輸入が集中したためでした。17年の発動の背景には、中国が米国産牛肉の輸入を解禁したことで、火鍋に使用される牛バラ肉などの値上がりを見越した日本の業者が大量仕入れに動いたという事情があり、18年も状況は変わっていません」
利益率が低い外食産業にとって企業努力による関税引き上げ分の吸収には限度がある。そうなれば、値上げは避けられない。生産者保護も大切だが、消費者保護の観点がすっぽり抜け落ちているのは問題だとも高橋氏は指摘する。
牛丼業界をはじめ、外食産業はいつまで振り回されるのか。
(図版作成=大橋昭一)