カナダで開かれたG7サミットで話題になったのが、椅子に座るトランプ米大統領に詰め寄るメルケル独首相ら欧州各国首脳の写真。保護主義的な動きを強め、EUにも鉄鋼やアルミにそれぞれ25%と10%の追加関税の導入を決めた米国と、それに対抗して報復関税を課すことを明らかにしたEUとの間の溝の深まりを象徴した。

ただ、米中の貿易摩擦と異なり、米国による輸入制限の動きはEUにさほど大きな影響はないと三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介研究員は指摘する。

「米国が輸入する鉄鋼アルミ製品のうちEU製のものはごくわずか。EUがとった報復関税もバーボンやジーンズなどが対象で本気で報復しようという意図はうかがえません。仮に今後、米国が自動車に輸入関税を課す措置に出たとしても、欧州の主力のドイツ車はいまや中国市場一本槍で、北米市場のウエートは小さい」

では先日のG7サミットでなぜ欧州各国は米国に対立してみせたのか。

「トランプ米大統領を諫めることで欧州の国際的プレゼンスを高める狙いがあったのでしょう。求心力が低下したメルケル独首相に代わりマクロン仏大統領が米国にもの申すという姿勢を強めています」(土田氏)