欧米では新規参入したベンチャー主導の宇宙ビジネスが急増している。日本でも2017年に内閣府が「宇宙産業ビジョン2030」をまとめ、民間の役割を拡大することで現在1.2兆円規模の市場を2030年代早期までに倍増する目標を打ち出した。野村総合研究所の佐藤将史上級コンサルタントによると、独自の技術や発想で参入する日本のベンチャー企業が増えているという。

「衛星の小型化に代表される機器やインフラの低コスト化によって、以前と異なり、必ずしも巨額資金を必要としない事業開発が可能になって、参入しやすい環境が生まれています。日本企業は小さなものを精巧に作るのが得意。宇宙空間のゴミの処理に取り組む企業や人工的に流星を起こすことを目指す企業など、毎年、数社ずつ増えています」

宇宙ビジネスの展開で、衛星画像などのデジタルデータの利用や宇宙空間における人体への影響の研究など、様々な波及効果が考えられるという。ただし、課題は資金調達だ。

「日本では米国のような政府が一定の調達を補償するアンカーテナンシーの発想がまだ弱く、海外から資金を引っ張ってきた実績がまだまだ少ない。ベンチャー育成支援を積極的に進める必要があります」(佐藤氏)

(図版作成=大橋昭一)
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