「国の中枢でうそがはびこり、それを正すことができない」

次に安倍首相を批判する。

「麻生氏の続投を許した首相の責任もまた重大である。秋の自民党総裁選で3選を果たすためには、党内第2派閥を率いる麻生氏を敵に回せない。政権発足以来、副総理として支えてくれた麻生氏が閣外に去れば、政権・与党内の力関係が不安定になる――。政治的なけじめより、そんな自己都合を優先させた判断ではないのか」

これも納得できる指摘である。最後に朝日社説は安倍政権にとどめを刺す。

「国の中枢でうそがはびこり、それを正すことができない。しかるべき立場にある人間が責任を引き受けない。それは、一政権の問題を超えて、人々のモラルに悪影響を与え、社会全体の規範意識を掘り崩しかねない」

なるほどその通りだ。

「他紙との違いが際立つのが読売の論調」

ところで毎日新聞(6月6日付)はオピニオン面で「社説を読み解く」という記事を載せている。ここで論説副委員長が、加計学園問題について「他紙との違いが際立つのが読売の論調である」と指摘し、こう書いている。

「首相の面会が焦点だった予算委員会審議を受けた5月29日社説は『繰り返しの論議に辟易する』との見出しだった。『明確な根拠も示さず、疑惑をあげつらう野党と、粗い対応で混乱を招いた安倍首相の双方に責任があろう』と双方を同列に並べ、国会での疑惑追及に『同じ議論の繰り返しには辟易してしまう』と嫌悪感すら示した」
「読売は愛媛県が文書を国会に出した際も、政府と対立構図に見えるとして『違和感を拭えない』と評し『国会の混乱に幕を引く時だ』(5月24日)と主張した」

この加計新疑惑については、沙鴎一歩も5月25日、プレジデントオンラインで「これだけウソを並べる政権が戦後あったか」「愛媛県と安倍首相 どっちが本当なのか」という見出しを付けて書いた。

その書き出し部分を要約して挙げておく。

「愛媛県が5月21日、新たな記録文書を国会に提出した。その文書の中から『加計孝太郎理事長が、安倍首相と2015年2月25日に面会し、安倍首相がいいねと語った』との記載が見つかった。安倍首相はこれまで国会で『加計理事長から獣医学部新設の相談を受けたことは一切ない。獣医学部新設計画を知ったのは加計学園が事業者に決まった2017年1月20日』と説明していた。加計新文書と安倍首相の説明は大きく食い違う」

毎日の論説副委員長が指摘を待つまでもなく、やはり加計問題における読売の論調は安倍政権擁護が目立つ。

(写真=時事通信フォト)
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