他者への攻撃が習い性となっている部下に対しても、怒りを捨ててまずは1人前に扱ってあげます。部下Aが同僚Bの悪口を言っていたら、呼んで、「Bさんに何か問題があるのだろうか。私は事情を知らないので教えてもらえないか」と頼む。AがBの悪口を言い始めたら、「具体的な例を教えてほしい。どこを直せばよくなるだろうか」と促します。「遅刻が多い」とか「いつも準備不足」と具体的な話が出たら、それは解決すべき問題と言えるし、批判の裏付けとなる正当な根拠が見当たらない場合は「故なく人を悪く言うのはいけないよ」と釘を刺します。

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強い自尊心のはけ口が陰口として表れることもあります。このときは「相手を承認し期待感を伝えること」がポイント。人は期待されれば、それに応えたいと感じます。具体的には陰口を言う部下に対して「あなたの考えを聞かせてほしい」と真剣に頼むのです。

過去の失敗事例を持ち出しては「今度もどうせだめ」と言っている部下の場合、失敗事例に引きずられている状態と言えます。この場合、「失敗から何を学び、今後にどう生かすか」について語り合うことです。「君はあのプロジェクトのとき現場にいたのか。ではあれがなぜ失敗したのか、君が考える理由を教えてくれないか」と、あくまで前向きな態度で意見を求めます。急に聞かれた部下はあわてるかもしれませんが、上司が真剣に自分の言葉に耳を傾けようとしている様子を見れば、悪い気はしないはずです。

▼対処法
なぜ批判するのか、原因を分析して真摯に対話する
本田有明(ほんだ・ありあけ)
本田コンサルタント事務所代表
日本能率協会勤務を経て1996年独立。コンサルティングや講演、執筆で活躍。『上司になってはいけない人たち』など著書多数。
 
(構成=久保田正志 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)
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