「指し手が人工知能に近い」が褒め言葉になっている

棋士の実力が高いことを褒めるときに、「指し手が人工知能に近い」というようなことが言われるようになってきた。コンピュータの実力が人間の棋士を上回るようになった今、「まるで人工知能のようだ」というのは最高の賞賛でもあるのだ。

人工知能の存在を前提に鍛えている棋士たちは、それ以前の棋士たちとは異なる能力を持ち始めている。脳を鍛える「脳トレマシーン」が登場したようなもの。人工知能という脳トレマシーンの存在下、藤井七段をはじめとする棋士たちが飛躍を遂げている。

人工知能を従来の「脳トレ」を上回る「超脳トレ」の手段として用いるのは、間違いなくこれからのトレンドの1つになる。

例えば、英語力の向上。それぞれの実力に合わせて適切な課題を自動生成し、読む、聴く、話す、書くの「四技能」を鍛えるプログラムは、将来必ず出てくる。

特定のスキルだけでなく、人生の現状を把握し、今後の仕事や人生における課題を提示、評価してくれる人工知能の登場は、ビジネスパーソンの能力向上に役立つことになるだろう。

これからの時代は、人工知能を「超脳トレ」の手段として使う人が、藤井七段のような異次元の実力を身につけていくものと予想される。自分を高めるために人工知能を使いこなせるかどうかが、人生の成功、失敗の分かれ道になっていくのである。

(撮影=横溝浩孝 写真=AFLO)
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