PB商品も物流もすべて“自前主義”

PB商品の製造も、自社グループで行なっている。前述の農業生産法人のほか、総菜などを製造する「北燦食品」、牛乳・乳製品などを製造する「豊富牛乳公社」など10を超える食品・飲料製造会社を所有する。食品メーカーとしての顔も持ち合わせていることが強みになり、自由度の高い商品企画や柔軟な管理を実現しているのだ。

セイコーマートで販売されている「北海道とよとみ生乳95%ヨーグルト(80g×3個パック)」(編集部撮影)

物流も自前で構築している。道内の主要都市に配送センターを設け、自社の商品のみならず他社の商品を含めて配送を行う。このためトラックにさまざまな商品や資材を混載でき、柔軟な運用が可能になっている。輸送効率が高まれば、コスト削減につながりやすい。

なお、筆者が訪れた店舗のように、実は北海道以外にもセイコーマートはあり(茨城県86店、埼玉県11店/18年4月末時点)、配送センターは関東圏にも3カ所設けられている。

こうした“自前主義”を早くから採用することで、セイコーマートは高い価格競争力を備えることに成功した。

「非24時間営業」だから過疎地に出店できる

また、セイコーマートが北海道でナンバーワンの勢力を築けているのは、「地元企業だから」というだけではない。24時間営業の旗を掲げていないことと、大半の店舗が直営店であることも、大きな理由だ。

北海道は広大で、過疎地が少なくない。そうした地域にコンビニを出店するとなると、24時間営業では採算がとれない。だが、来店が見込める時間帯だけ営業するなら、出店が可能になる。また、フランチャイズオーナーの担い手がいない地域でも、直営店ならば本部の意向ひとつで出店できる。

これらの戦略が功を奏し、セイコーマートは北海道民に親しまれるようになった。王者セブン-イレブンを差し置いて、「顧客満足」&北海道店舗数1位というのも、頷けるのではないだろうか。

佐藤昌司(さとう・まさし)
店舗経営コンサルタント
立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。
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