特に、古代ギリシアの哲学者たちが「Whatの問い」に対して出した解答は、自然科学によって現在はほぼ全て否定されています。例えば、古代ギリシアの哲学者たちは、全てのものは「火」「水」「土」「空気」という四つの元素から成り立っていると考えていましたが、この主張は、元素というものの存在を知っている現在の私たちにとっては単に誤った主張でしかありません。
一方で、初学者向けの哲学の教科書は通常、年代順に編纂されており、たいがいは古代ギリシアからスタートしています。ここに、初学者が挫折してしまう大きな要因があると、筆者は思っています。
勢い込んで哲学の入門書を開いてみたものの、最初の50ページに出てくるのは、現在の私たちからすると非常に幼稚に見える、あるいは完全に間違っているものばかりなわけです。これでは「こんなことを学んで一体何の意味があるのか?」と感じてしまうのも仕方がありません。
これが、哲学に挫折する大きな要因の一つ目です。
アウトプットはダメでもプロセスが面白い
さて、では古代ギリシアの哲学者の論考から、私たちが学べるものはないのでしょうか? いえ、そんなことはありません。ここで登場してくるのが、先ほど紹介した、哲学者の論考を整理する軸の二つ目、すなわち「学びの種類」という軸です。
古代ギリシアの哲学者の多くが「世界はどのように成り立っているのか?」という「Whatの問い」に向き合った、という点についてはすでに説明しました。
さて、この「Whatの問い」に向き合った彼らから、一体何が学べるのか? ここで「学びの種類」という軸について考えてみましょう。繰り返せば、哲学者の考察から私たちが得られる学びには次の二つの種類があります。
・アウトプットからの学び
プロセスとは、その哲学者がどのようにして考え、最終的な結論に至ったかという思考のプロセスや問題の立て方を意味しています。一方で、アウトプットとは、その哲学者が論考の末に最終的に提案した回答や主張を意味します。