少しだけ飲むほうが死亡リスクは下がる

さて、カウント方法を覚えたところで本題に移りましょう。「酒は百薬の長」という言葉の真偽について、科学のメスを入れます。酒飲みの方であれば1度は聞いたことがある言葉でしょう。

この言葉は、中国の「漢書 食貨志」に記されていたそうで、「適量飲めば、他のどの薬よりも勝る」という意味です。おおよそ2000年ほど前の書とのことで、人と酒との長い歴史を感じます。ただ、これが書かれた時には「適量」がどれくらいなのかは正確にはわからなかったと思います。それから2000年の間、医学者は研究を重ねました。そして、それらの研究を統計的にまとめた論文が、2006年に発表されました(※1)

これはイタリアの研究者たちの発表で、「健康に良い飲酒量」について、2005年までに発表された研究論文を統計学的に処理したものです。研究対象となったのは、約101万人の成人です。すると、飲酒をしていない人よりも、少し飲酒をする人のほうが、死亡の相対リスクが低いことがわかりました(図表2)。