『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)という本が話題だ。ここで紹介されている食事法は「地中海食」と呼ばれているもの。健康効果が科学的に実証されているというが、その内容はどういうものなのか。その科学的なエビデンスを、医師があらためて調べた。その結果とは――。

最近、糖質制限ダイエットがブームになっていますが、実はこの糖質制限と同じくらい医学界で多数研究がされていて、健康効果が実証されている食事法に「地中海食」というものがあります。皆さんはご存じでしょうか?

※写真はイメージです(写真=iStock.com/MarianVejcik)

つい最近だと、私の聖路加国際病院の先輩でもある津川友介先生(現在UCLA助教授)の著書『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)でも地中海食について取り上げられ、話題になっています。

今回は、その「地中海食」について、具体的に証明されている健康効果を3つご紹介しながら、詳しい実践方法についてもお伝えします。私自身も調べながら食事が少し変わったので、皆さんもぜひ参考にしていただければと思います。

データではっきり見える3つのメリット

地中海食は、主にギリシャや南イタリアなどの地中海沿岸でとられる食事形態のことで、1960年代にAncel Keysらによって定義された食事法です。細かな食事方法は後で解説するとして、まずは、これまで医学的に示された効果からお伝えします。

メリット1:心筋梗塞や脳卒中の発症率を下げる

地中海食は、心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクを大幅に下げることがわかり、研究が盛んになった歴史があります。代表的な研究の1つが、美食の町として知られるフランスのリヨンで行われた研究です(*1)。