フリーレントに3年以上住むと大損のケース

また、フリーレント付き物件の中には、周辺の同等の物件より若干家賃が高く設定されているものもあります。たとえば、周辺の同等の物件(フリーレントなし)が7万円ほどで借りられるのに、フリーレント付きの物件は7万3000円に設定されている、といった具合です。

このケースでは、フリーレント期間が1カ月だったとすると、7万3000円が浮きます。2年目の終わりまでは、周辺のフリーレントなし・7万円の物件に住むよりもお得ですが、3年目にはむしろ損をします。

貸し手の側も、自分たちが極力損をしないように家賃を設定するので、お得に見せかけてそうでもないことは多いもの。長期的に住むなら、フリーレントという言葉に惑わされず、相場に見合った家賃の物件を探すべきでしょう。

ところで、「フリーレントにするくらいなら、貸し手は家賃を下げてもいいのでは」と思われるかもしれません。しかし、簡単に家賃を下げると、同じ物件の別の部屋の居住者から「うちの家賃も同じように下げてほしい」などと要求される恐れがあるため、家賃の値下げよりフリーレントのほうがマシと考える大家さんもいるのです。

これから引っ越しシーズンがピークを迎えますが、賃貸物件探しでは家賃だけでなく、物件自体のよしあしや周辺環境などを総合的に判断することが大切です。そもそも、フリーレントが付いているということは、そうでもしないと借り手がつきづらい物件ということ。お得さに目を奪われて入居したものの、肝心の住み心地が悪い……では困ります。フリーレントはあくまでオマケであり、付いていたらラッキーという程度に考えておくのが無難かもしれません。

なお、フリーレント期間であっても大抵は管理費や共益費が発生し、まったく無料で住める例は少ないのでご注意を。

(構成=元山夏香 写真=iStock.com)
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