不倫をしない究極の防止策とは

たとえ報道される立場でなくても、不倫が社会的に認められないものであり、またデメリットが多い現状では、本能に逆らってでも不倫しないことが得策と言える。

そのためには何をすればいいか。まず「1度目の不倫をしないこと」が肝心だ。恋愛すると脳内に神経伝達物質のドーパミンがあふれて、多幸感を覚える。ドーパミンには新しい刺激を求める中毒性があるため、1度不倫をすると、さらに刺激の強い不倫を求めてしまう。カラオケで最初は躊躇していても、歌いだしたらマイクを離さなくなるのと同じ現象だ。

そして究極の防止策は、満足度の高い結婚生活にほかならない。そのために有効なのが、配偶者に対する評価の改善である。往々にして仲の悪い夫婦は、自分には過大評価、相手には過小評価をしていることが多い。その意識を変える方法として、減点方式から加点方式への変換をお勧めしたい。

具体的には朝起きた時点で、相手への期待を1度リセットすることだ。そこで朝起こしてくれること、朝食を作ってくれることを当たり前だと思わず、提供されるあらゆる行為を「自分のためにやってくれた」と加点で評価していく。そうすれば素直に感謝でき、「ありがとう」の言葉も出てくるだろう。つまり配偶者に過度に期待しないことが、幸福な結婚生活を支えるのである。

もうひとつが、夫婦間で飽きがこない関係を築くことだ。満足度は消費すればするほど減少していくという経済学の「限界効用逓減の法則」が示すように、一緒にいる時間やセックスなどの消費財は徐々に満足度が減っていく。そこで夫は経済力、妻は料理の腕を磨くなどして(もちろんその逆もある)、なるべく飽きのこない行為を積み上げ、互いに満足度を下げないよう努力する。

遺伝子が変わらないかぎり、今後も不倫は存在し続けるであろう。しかしもしあなたが一連の不倫騒動に辟易としているならば、不倫をしないように心がけて暮らす、というのは真っ当な選択かもしれない。

森川友義(もりかわ・とものり)
早稲田大学国際教養学部教授
1955年、群馬県生まれ。政治学博士。早稲田大学政治経済学部卒業後、国連専門機関勤務、オレゴン大学客員准教授などを経て、現職。専門は進化政治学、国際関係論、日本政治だが、日本における「恋愛学」の第一人者としても知られる。著書に『大人の「不倫学」』(宝島社)など。
(構成=堀 朋子 写真=時事通信)
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