「サイバーデブリ」の大量発生がもたらす事態
PCやスマホといった情報端末はもちろん、ゲーム機にテレビ、さらには白物家電や自動車まで、様々な機器がネットでつながる時代を迎えている。いわゆるIoT(モノのネット接続)化が進むが、それに伴うサイバーデブリの大量発生が社会問題を引き起こすという。デブリとは、壊れて散乱した破片や残骸を意味し、いわばガラクタである。
サイバーデブリとは、プログラム更新などの保守が実施されず、セキュリティ面が脆弱なまま使われ続けるIoT機器のことだ。これはネット上で容易に遠隔操作でき、サイバー攻撃者の操り人形として悪用されやすい。
情報セキュリティ大学院大学の後藤厚宏学長はこう話す。
「IoT機器を介したサイバー攻撃はすでに現実となり、2016年10月にはサーバー運営企業が攻撃を受けたことで米アマゾンなどの通信サービスが不安定となる障害が発生。同年11月にはドイツテレコムが契約者に提供するルーターが攻撃され、90万人に被害が及びました」
それにもかかわらず、「国が何らかの規制を行うのか、業界側でルールを定めるのか、議論は始まったばかり」(後藤学長)という状況だという。
現時点で可能な対策はユーザーの自衛のみで、古くなった機器を使い続けるのは避けるべきだ。さもなければ、知らぬ間にサイバー攻撃の加担者となるだろう。
(写真=AFLO)