「延命治療」可否の意思表示をする

お墓についても「弔う側」の都合を忘れてはいけません。「父親が、景色がいいからと遠方にお墓を買ってしまった。お墓参りをどうすればいいのか」というような相談を受けることがあります。また、本人が海洋散骨を希望しても、遺族は毎年お墓参りをしたいと思っている場合もあって、遺族の大きな負担になる可能性があります。

人生の終い方としてどのように最期を迎えたいかを考えたとき、延命治療の可否を明確にしておくことは重要です。家族が延命治療の判断を迫られたときに困らないためにも、せめて「家族の誰かが自分の死に目に会えない状況になってしまっても、医師にノーと言ってほしい」など、家族全員に、心づもりは伝えておきたいもの。延命治療拒否の意思を示す方法としては、日本尊厳死協会や公証役場で作成する「尊厳死宣言書」があります。ここまでせずとも、確実に意思がわかるようにしておき、保険証と一緒に持ち歩くようにするとよいでしょう。また、臓器提供の意思があるのならば、ドナーカードへ記入し意思表示を明確にしておくといいでしょう。

▼死ぬ前に主にやっておきたいことチェックリスト

赤字はとくに重要なもの、忘れがち、見落としがちなもの
家族のための事前準備
・家族が必要となる金額の把握
・不要なモノの処分、残すものの整理・保管
・出生時から現在までの戸籍謄本を取り寄せておく
・ドナーや延命治療の可否に関する書類の準備
金融機関口座・契約関係
・使っていない口座を整理する
・株券など有価証券を整理する
・クレジットカードを整理、解約する
・年会費を払う不要な会員契約を解除する
・WEBサイトの閉じ方を決める
・携帯電話の電話帳データを残しておく
相続関係
・自分の遺産を把握
・財産の分割方法→とくに不動産など分けにくいもの
・遺言書(自筆証書遺言書と公正証書遺言書)
・作成した遺言書の保管場所→貸金庫は避ける

・生命保険の活用
葬儀やお墓
・菩提寺や宗派、家紋を把握する
・墓じまいや改葬など先祖のお墓をどうするか考える
・見積もりを取って葬儀社を事前に検討する
・遺影写真の準備をしておく
・自分の死を伝えてほしい人をリストアップ
・送られ方を考える(一般葬、家族葬、直葬)

・お墓、葬儀の費用
(取材をもとに編集部作成)

明石久美
相続・終活コンサルタント
明石シニアコンサルティング代表、これから相続コンサルネット理事長。ファイナンシャルプランナー。著書に『死ぬ前にやっておきたい手続きのすべて』『配偶者が亡くなったときにやるべきこと』などがある。
(構成=吉田茂人 撮影=小川 聡 写真=iStock.com)
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