つい忘れてしまう「デジタル遺品」の整理

また、使っていない口座は体が動くうちに整理しましょう。普通預金口座の解約は、同じ銀行であれば口座のない支店でもできますが、単体の定期預金など一部の口座は取引店以外で解約できないこともあります。解約したい銀行口座の支店が遠方のときは、手数料が必要になりますが近くの銀行から解約したい口座のある銀行へ取り立ててもらう「代金取り立て」が可能です。

クレジットカードの解約は金融機関口座の解約と同様に死後では大変です。自身が解約手続きする場合は本人確認が取れれば手続きはスムーズですが、それを家族が行う場合、郵送されてくる申請書類に記載し、本人との関係を証明する書類の提出が必要になります。未決済の借り入れは計画的に終わらせます。

忘れがちなのが「デジタル遺品」ともいえるパソコンのデータ整理です。WEBサイトのブログ、SNSなどにアカウントを持ち、それを家族が知らない場合や死後自分の情報を放置したくなければ、その閉じ方も決めておきます。身近な人に頼む場合は、ブログやSNSアカウント名、ID、パスワード、メールアドレスなどがわかるリストを作成しておきましょう。

家族を困らせないという点で、あらかじめ葬儀やお墓をどうするべきか考えておくべきです。亡くなった後に、遺族が葬儀社を落ち着いて選ぶ余裕はありません。本人が複数の葬儀社から見積もりを取り検討しておけば、前もって流れを知ることにもなり、費用の概算もつかめます。

また、「一般葬」「家族葬」など葬儀の種類によっても、訃報を知らせる範囲は変わります。「遺族に迷惑がかかるから」と、家族だけの葬儀を希望する人も多いですが、友人の中にはきちんとお別れしたいという人もいます。家族が、『なぜ葬儀に呼んでくれなかったんだ』と親族から責められることもあります。一番よいのは、家族が嫌な思いをしないように配慮したうえで、エンディングノートなどに訃報連絡をしてほしい、もしくはしなくてよい人のリストを作っておくことです。菩提寺の連絡先や遺影に使う写真も準備しておくと家族は助かります。お気に入りの写真を何枚か選び、わかりやすいところにまとめておきましょう。