日本にとっての「あるべき近未来」を考えよ

南北和平から南北連合国家形成という流れは、国際的には東アジアにおける一党独裁国家である中国の覇権を、より確かなものにしていくことでしょう。現在、中国の「一帯一路」構想を軸とする「中ロ朝韓」の新たな北東アジアブロックがかたちづくられようとしています。中国は当然、日本もこの従属下に取り込んでいこうとするでしょう。中国の「親日外交路線」への転換は、近未来の米軍撤退を十分想定しているからにほかなりません。

韓国の南北連合国家構想には、アメリカ歴代政権のアジア戦略、南北朝鮮歴代政権の統一政策、そして北朝鮮の核戦略が複雑に絡み合っています。いまこそ私たちは、その絡み合いを丹念に解きほぐしながら、韓国・北朝鮮が描く近未来シナリオへの分析を通じて、北朝鮮問題をめぐる「あるべき近未来」の姿を考えなければならないのです。

呉善花
拓殖大学教授
1956年、韓国・済州島に生まれる。83年に来日し、大東文化大学卒業後、東京外国語大学地域研究科修士課程(北米地域研究)修了。現在、拓殖大学国際学部教授。デビュー作『スカートの風』(角川文庫)で注目を集め、『攘夷の韓国 開国の日本』(文春文庫、第5回山本七平賞受賞)、『朴槿恵の真実』(文春新書)ほか、著書多数。
(写真=iStock.com)
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