「汚い仕事」を押しつけられた時の正しい対処

最初に申し上げておきたいのは、「汚い仕事」は遅かれ早かれ必ず発覚するということだ。佐川氏は、財務省理財局長を務めていた頃、国会で学園側との事前の価格交渉を否定し、「交渉記録はない」「記録が残っていない」などと答弁したが、その後佐川氏の答弁と矛盾する文書や録音などが次々と出てきた。また、食品偽装が発覚して廃業に追い込まれた企業もあるし、診療報酬の不正請求が発覚して閉院に追い込まれた医療機関もある。

もう1つ忘れてはならないのは、発覚した場合、上の人間が守ってくれるわけではないということだ。たとえ上司から指示されたことであっても、もし発覚したら、ほとんどの上司は「やったのは自分ではない。部下が勝手にやった」としらを切り、責任転嫁する可能性が高い。いざというとき部下に責任転嫁できるように、自分が指示した痕跡を残さないようにする巧妙な上司もいるだろう。

まして、上司からの明確な指示がないのに、こちらが忖度して「汚い仕事」に手を染めた場合、上司が守ってくれるわけがない。中には、決して明確に指示せず、アメとムチを使い分けながら、部下が忖度するように誘導する上司もいるので、要注意である。

この2つを肝に銘ずるなら、「汚い仕事」を押しつけられそうになったときの選択肢は1つしかない。そう、断るしかないのだ。断ったら、現在の職場にいられなくなるのではないかという危惧があるだろうが、それでも断るしかない。

ちなみに、先ほど紹介したスーパーの鮮魚売り場で働いていた男性も、診療所で医療事務の仕事をしていた女性も、「汚い仕事」を受け入れられず、その後退職している。

▼断れない場合は「録音」「メール」を必ず残す

もっとも、どうしても断り切れない場合もあるだろう。その場合は、上司から指示された証拠を残しておくしかない。もちろん、責任を押しつけられないためである。

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わが身を守るためには、なるべく第三者の同席した場で指示を受けるべきだ。要は、2人きりにならないということで、どうしても2人きりになる場合は、録音しておくのも手だ。

「言った」「言ってない」というトラブルを避けるために、指示内容をメールで送ってもらうのもいいかもしれない。その場合、「大切なご指示を忘れてはいけませんので、メールでお送りいただけると助かります」という具合に表面上はあくまでも下手に出るべきだ。こうして証拠を残しておけば、いざというとき身を守るのに役立つだろう。

最後に申し上げたいのは、忖度などもってのほかということである。間違っても忖度などしてはいけない。

(写真=時事通信フォト、iStock.com)
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